総務省による令和3年度市場検証中間報告によれば、携帯電話・スマートフォンのシェアで、ドコモは36.6%のシェアを誇るトップブランドです。
それに続くKDDI(au)とソフトバンクは、大きな流れとして、良くも悪くもドコモと横並びの政策が目立ち、しかしその結果として3大キャリアと呼ばれる三社は、その企業規模を大きく上回る、世界有数の収益企業になっています。
これは、消費者側から見れば料金の高止まり以外の何物でも無く、国民の共有財産である電波を使った総務省の認可事業であるにも関わらず、永らく既得権の様に扱われてきました。
過去の為政者が誰も手を付けてこなかった、この既得権に対して、管政権がメスを入れました。
管政権が行った事として、各キャリアに対して携帯電話料金の値下げを要望するだけでなく、新たな刺激を与える策として、新しく4番目のキャリアになる楽天モバイルを認可したり、世界の先進国との月額料金を比較して、日本の携帯電話料金が如何に高いかを明示して、具体的に4割下げられると明言したりして、3大キャリアが対応せざる得ない環境を作り出しました。
この過程を経て登場した新しいプランが、ドコモがリリースしたオンライン専用プランの「ahamo」です。
ahamoはドコモの既存プランと比較して破格に安い、20GBの月額容量で3,000円を切る(発表当時は税抜)月額料金は、政権の意向を充分に満たすもので、その結果として世界の先進国の月額料金比較で、日本はトップクラスの安さに躍り出る事になりました。
単純に今ある既存プランを値下げすれば、収益構造を大きく毀損する可能性が高く、「この価格を実現するため」であれば仕方ない、というエクスキューズが何項目か入れられています。
既存プランに適用されている事で、ahamoに出来ない事の一つに、ドコモ光と組みあわせる事で適用される「セット割」が有ります。
自宅に導入する光回線に、ドコモ光を利用しているドコモユーザーは多く、家族全員の毎月のスマホ料金が割引されることを、ドコモ側・ショップ共に、積極的にアプローチしてきた経緯もあります。
しかし、セット割を適用する従来の月額料金よりも、ahamoの月額料金の方が安くなるユーザーの方が遙かに多く、通信料金のトータル費用を安くする手段として、大きなメリットが有ります。
そこで問題になってくるのが、光回線として利用していたドコモ光です。
ドコモ光の最も大きいメリットは、ドコモのセット割が適用される事で、このメリットが無くなるahamoユーザーは、敢えてドコモ光を継続利用するメリットは基本的に無いと言えます。
ドコモからahamoに変更した場合の、通信費トータル費用を安くする、光回線について解説します。
ahamoで出来ない事
ahamoでは従来のドコモプランで行っていた、サービス機能や特典・割引が適用されない事も含めて、安価な月額料金を提供しています。
ショップでの契約や相談
従来のプランとahamoが異なるのは、ahamoがオンライン専用プランで、基本的にはドコモが提供しているサービスにも拘わらず、ドコモショップが利用出来ない事です。
そのため、解らない事の相談や、スマホのトラブル・使い方を聞くなど、普段からドコモショップを利用する機会が多い方には、ahamoへの乗り換えは金額的にメリットが有っても、積極的にオススメは出来ません。
しかし、ショップの利用者は、頻繁に利用する層と、殆ど利用しない層に二極化していて、殆ど利用していない方にとっては、大きなデメリットになりません。
契約の変更や機種変更の時だけドコモショップを利用していたユーザーなら、契約変更等の手続きは、時間や手間を掛けずにオンラインで行えますし、機種変更も数多く販売されているSIMフリー機種を購入すれば、全く問題ありません。
どうしても店舗でのサポートが必要な場合には、都度の手数料3,300円を支払う必要があります。
従来は、契約者なら店舗での無料サポートが利用出来る事は当たり前でしたが、その流れは確実に変わりつつ有ります。
ウィズコロナを契機として、コストの掛かる人的サポートの見直しが各社で始まっています。
積極的なのはソフトバンクで、2021年4月以降、ソフトバンクショップとワイモバイルショップでは、一部のサポートが有償化されています。
データ移行は1件3960円・カウントや初期化などは1件1100円・フィルム貼りは1件1100円などですが、2022年9月14日から「店頭スマホサポート定額」がソフトバンクショップでは提供が始まります。
これは、月額990円の「フルプラン」と、月額550円の「ライトプラン」の2種類で出来る事が異なる、これは言わばサポートのサブスクサービスです。
今後はショップの人的サービスについては、メインプランであっても、費用が掛かる流れは変わらないと考えられます。
ドコモメール
ahamoでは、×××@docomo.ne.jpのドコモメールは提供していません。
通常の連絡手段としてLINEなどを利用している方も多く、利用頻度としてキャリアメールは減ってきていますが、何らかのサービス登録にドコモメールを利用していた場合に、不都合が出ます。
Androidユーザーは、Gmailが必然的に利用出来る様になっていますし、iphoneユーザーではicloudメールが利用出来る為、ahamoへ乗り換える前に、登録してあるメールアドレスの変更をしておく必要が有ります。
ドコモメールでやり取りを行っていた相手には、事前にメールアドレスの変更を伝えておく必要があります。
いきなりメールアドレスが無くなると困る方は、「ドコモメール持ち運び」にahamoへ乗り換える時に申し込んでおけば、月額料金330円が加算されますが、ahamoを利用していてもドコモメールが継続して利用出来ます。
サービスや機能
ahamoに変更する事で利用出来なくなるサービスや機能の多くは、「キャッチホン」「留守番電話サービス」等の、電話通話に関するものが多くなっています。
スマホは通話メインで利用しているというユーザー以外では、大きなデメリットになりません。
かといって、これらの機能が必要とするユーザーが、既存のメインプランを継続する事もオススメしません。
格安SIM等の安価な月額料金プランでも、同様のサービスを提供している事は多く、乗り換えた方が月額費用は安くなります。
割引
最も大きな影響は、割引かもしれません。
ahamoに乗り換える事により、「dカードお支払割」「ドコモの学割」などの割引制度は、基本的に無くなります。
中でも大きいのは、「ドコモ光セット割」です。
(出典:docomo公式サイト)
先に述べた、セット割が無くなってもahamoの方がお得になる事を、5人家族で実際に計算してみましょう。
ギガホプレミアプランの場合
容量60GB/月 月額7,205円
家族で3回線以上ドコモを利用すれば、1,100円の割引きが受けられます。
家族5人と仮定すれば
月の支払料金は(7,205円-1,100円)×5人=30,525円
になります。
ギガホプレミアプラン契約者は、ドコモ光の利用で月額1,100円の割引きが受けられます。
30,525円-(1,100円×5人)=25,025円
家族5人の月々割引合計額は5,500円になり、この魅力によってドコモ光に契約したドコモユーザーも多いと思われます。
・戸建ての場合 (スマートフォン料金)25,025円+(ドコモ光)5,940円=30,965円
・マンションの場合(スマートフォン料金)25,025円+(ドコモ光)4,620円=29,645円
*OCNをプロバイダ(タイプB)利用した場合
通信費全体の費用は
ギガホプレミアプランを家族5人で利用して、光回線にドコモ光を利用している場合の通信費全体の金額は、戸建てで30,965円・マンションで29,645円になります。
ahamoの場合
容量20GB/月 月額2,970円
月の支払料金は2,970円×5人=14,850円
になります。
・戸建ての場合 (スマートフォン料金)14,850円+(ドコモ光)5,940円=20,790円
・マンションの場合(スマートフォン料金)14,850円+(ドコモ光)4,620円=19,470円
*OCNをプロバイダ(タイプB)利用した場合
通信費全体の費用は
ahamoを家族5人で利用して、光回線にドコモ光を利用している場合、通信費全体の金額は、戸建てで20,790円・マンションで19,470円になります。
毎月の差額
2つの料金差は、戸建て・マンション共に月額10,175円に上り、年間では122,100円の節約が可能になります。
注意が必要なのは、毎月20GB以上のデータを利用するユーザーは、ahamoに乗り換える事で使い辛くなる可能性が有ります。
ahamoには「大盛り」のオプションがあり、毎月100GBの容量まで利用出来る様になりますが、ギガホプレミアプランで各種割引制度を適用すれば、大盛りオプションの金額を加えたahamoの金額的な優位性は、殆ど無くなります。
しかし、ドコモ光が自宅に導入されていれば、自宅での利用はWi-Fi環境で利用するためギガの消費はしない事から、スマホの契約プランのギガ消費は外出時に限られるため、現実的にその環境下で毎月20GB以上を消費するユーザーは、かなり少ないと言えます。
My docomo(マイドコモ)ページで、1ヵ月で実際にどれくらいのデータ消費をしているか?確認してみてください。
ドコモ光の料金体系を考える
ドコモ光の料金プランは、どんなスマホプランを契約していても、月額料金は変わりません。
ドコモのメインプランからahamoに乗り換えても、ドコモ光の月額料金に変更はありません。
ahamoに乗り換えても、ドコモ光を光回線として利用する事が最適なのか?考えてみましょう。
ahamoに乗り換えた後でも、ドコモ光の料金にメリットはあるか?
ドコモ光の料金体系は他の光コラボとは異なり、プロバイダの選択によって価格は2種類あり異なっています。
他の光コラボと同様に、マンションタイプと戸建てタイプでも月額料金は異なるため、実質4通りの料金体系になっています。
プラン | マンションタイプ | 戸建てタイプ |
1ギガ タイプA | 4,400円 | 5,720円 |
1ギガ タイプB | 4,620円 | 5,940円 |
この月額料金は、決して高いとは言いませんが、安くは無いと言い切れます。
たとえば、NTTグループの通信技術の中核を担うプロバイダのOCNは、ドコモ光でも人気のプロバイダですが、OCNは光コラボで「OCN光」を提供しています。
ドコモ光でタイプBのOCNを選んだ場合、光回線を「フレッツ光」+プロバイダを「OCN」でインターネットを利用しますが、OCN光も光回線は「フレッツ光」+プロバイダが「OCN」になり、全く同じインターネット環境だと言えます。
しかし、月額料金はドコモ光の場合マンションで4,620円に対し、OCN光では3,960円になり、戸建てではドコモ光の場合5,940円ですが、OCN光の場合は5,610円になり、いずれの場合でもドコモ光の料金の方が高くなります。
スマホプランをドコモからahamoへ乗り換えたら、ドコモ光を継続利用する事にメリットは無く、光回線も他回線に乗り換える事で、通信費トータル費用は安くする事が可能です。
光コラボなら乗り換えも簡単
光コラボなら、別の光コラボへの乗り換えは簡単です。
光コラボとは、NTT東西の光回線「フレッツ光」を回線としてプロバイダに卸し、プロバイダがワンセットにしてサービスを提供する、現在主流の利用形態です。
(出典:NTT西日本*一部改変)
ドコモ光も数ある光コラボの一つで、光コラボはNTT東日本エリアで530社・NTT西日本エリアで235社が有ります。
「光コラボ」を現在契約している方が、他の光コラボ事業者に乗り換える事を「事業者変更」と言います。
事業者変更の手順
(出典:NTT東日本公式)
フレッツ光回線はそのまま利用するので、別途工事も必要無く、インターネットが利用出来ない期間も生じません。
- 事業者変更承諾番号の収得を、契約中の光コラボ事業者へ申し込む
- 新しい光コラボ事業者に、「事業者変更」として申し込む
- 事業者変更の手続きが完了(概ね1週間から2週間程度)すれば、利用できる様になります。
注意点としては、事業者変更承諾番号は15日間の有効期限があります。
事業者変更も転用の場合も、公式特典に加えて正規代理店独自の、特典キャッシュバックが受けられます。
更に通信費トータル費用を安くする方法は?
ahamo利用者が、光回線をドコモ光から他の光コラボに乗り換える事は、通信費トータル費用の削減に効果が有りますが、それ以上に安くする事も可能です。
ahamoではなく、「セット割」が適用される格安SIMを利用する事で、通信費トータル費用は大幅に削減出来ます。
安価に利用出来る格安SIMの中でも、光回線を組みあわせる事で、更に安くなる「セット割」が適用される回線を、光コラボから選んで、スマホプランも乗り換える事が最適です。
具体的にご紹介します。
スマホで20GBが必要なら「@TCOMヒカリ」+「LIBMO」
(出典:@TCOMヒカリ申込サイト)
@TCOMヒカリの月額料金は、一戸建てタイプで5,610円・マンションタイプで4,180円です。
光回線を「@TCOMヒカリ」+スマホの契約を格安SIMの「LIBMO」にする事で、元々安価なスマホ料金が更に安価に利用出来ます。
セット割はスマホ1契約ごとに月額220円の割引きが受けられ、最大5契約月額1,100円まで「セット割」が受けられます。
LIBMOのセット割
(出典:LIBMO公式)
格安SIM「LIBMO」の、月額料金と「セット割」は以下の通りです。
〇納得プラン | |||
データ容量 | 通常料金 | @T COMヒカリ 月額割引額 |
実質金額 |
3GBプラン | 980円 | 1回線 220円/月割引 | 760円 |
8GBプラン | 1,518円 | 1回線 220円/月割引 | 1,298円 |
20GBプラン | 1,991円 | 1回線 220円/月割引 | 1,771円 |
30GBプラン | 2,728円 | 1回線 220円/月割引 | 2,508円 |
かけ放題オプションは、5分かけ放題 550円 10分かけ放題 770円 時間制限無しかけ放題 1,430円 です。
ahamoと同条件で比較
ahamoの月容量20GBと同様のLIBMOの20GBプランは、セット割を適用して1,771円になります。
ahamoは5分かけ放題が込みの料金ですから、LIBMOの5分かけ放題オプション550円を加算すれば2,321円になります。
先ほどahamoで計算した家族5人で利用したケースを、LIBMOでも計算してみましょう。
戸建てで利用する場合は、(光回線)@TCOMヒカリ5,610円+(スマホ代5人分)LIBMO2,321円×5人分=17,215円
マンションで利用する場合には、(光回線)@TCOMヒカリ4,180円+(スマホ代5人分)LIBMO2,321円×5人分=15,785円
LIBMOの20GBプランを家族5人で利用して、光回線に@TCOMヒカリを利用している場合の通信費全体の金額は、戸建てで17,215円・マンションで15,785円になります。
先述のahamoとドコモ光では、戸建てで20,790円・マンションで19,470円でしたから、戸建てで3,275円・マンションで3,685円が毎月安くなります。
普段の通話はLINEが主体で、電話の音声通話を殆ど利用しないユーザーでも、ahamoの料金は変わりませんが、LIBMOでは5分かけ放題オプションを付けなければよく、上記の料金からスマホ一台あたり550円が安くなります。
また、ahamoは既存プランに比較すれば安価ですが、月に3GB程度しか利用しないユーザーでも、月額料金は変わりませんし、ahamoには小容量プランは用意されていません。
毎月のデータ利用量が少ない家族がいれば、LIBMOでは20GBプランを契約する必要は無く、小さな容量プランを安価に契約すればよくなるので、通信費トータル費用は更に下がります。
キャッシュバック
@TCOMヒカリでは、キャッシュバックキャンペーンを行っています。
詳細は以下をご覧下さい。
12ヵ月の間、月額料金割引
契約から12ヵ月間、@TCOMヒカリの月額料金が割り引かれます。
戸建てタイプでは月額1,320円が割引きされ、マンションタイプでは月額990円が12ヵ月割引きされます。
工事費無料
@TCOMヒカリの場合、最大19,800円の工事費が掛かりますが、今なら工事費が無料になるキャンペーンを行っています。
ahamoは何処を向いて開発されたプランなのか?
ahamoショックとも言われる、既存のプランの料金から大きく月額料金を下げた事は、発表当時は大きなトピックとして扱われました。
しかし、官製値下げとも言われている、ahamoを含むオンライン専用プランは、ユーザーと向き合って生み出されてはいません。
自宅以外でのデータ通信量は3GB程度が多い
2022年8月25日に株式会社MM総研は「携帯電話の月額利用料金とサービス利用実態(2022年7月時点)」を公表しています。
(出典:MM総研)
トータルのインターネット利用量は増えていますが、その多くは光回線の普及による事が大きく、外出時(つまり自宅のWi-Fi環境が利用出来ない場合)のギガ消費は、比例して増えてはいません。
上のグラフを見ても明らかですが、多くの利用層は3GB未満に集中していて、それ以上の利用量では数%程度に低下していて、小さいですが次の山として20GB未満が有りますが、せいぜい5%程度です。
1GBから3GB程度の小容量の大きな山と、20GB程度を中心とした中容量から大容量の小さな山は、大きな山が光回線導入者・小さな山は光回線未導入者だと、ざっくり推察が出来ます。
オンライン専用プランは国の方向を向いて開発された
ahamoは前述のように、時の政府からやり玉に挙げられた、世界との比較で20GBがクローズアップされた事が大きく、利用者の多いユーザー本位の利用量から開発されたプランではありません。
オンライン専用プランは当初3社が20GBの横並びで登場しましたが、auの「povo」・ソフトバンクの「LINEMO」では、プラン改定により3GB未満のユーザー利用がし易くなっています。しかし、ahamoでは同様の改定は行われていません。
そのため光回線利用者にとって、ahamoの20GB容量は、オーバークオリティになっている事が大半です。
実際に利用している容量に最適なプランを選択する事で、更に通信費のトータル費用は安くすることが出来ます。